理論を進化させる DD理論進化編1
改めまして、ドリブルデザイナー岡部です。
2ヶ月間のしょうごBOSSの連載は如何でしたか?
僕はオフェンス側として彼と立合い、彼の強さ、ボールを奪う能力の高さを誰よりも知っていたつもりでしたが、こんな風に考えてたのか!と目から鱗だったことが沢山ありました。
これから始める新章はDD 進化編と称して、
これまでのロジックテクニックをさらに深め、これまで考慮していなかった「タイミング」の要素も付け足してお伝えするのと、新しく身につけた体の使い方をプラスしてお届けしたい
と思いますが、
まずは最強ディフェンダーしょうごBOSSの最強DF論の視点から、
改めて99%抜けるドリブル理論を考えてみたいと思います。
ざっくりと今回の内容をまとめるなら、
もう一段階上のレベルのドリブル勝負をするために必要なこと
そんな内容です。
でも「ドリブル始めたばかりです。。」そんな方の参考にもなります。
なぜなら、「ドリブル理論を実践しているんだけど、実戦ではなかなか抜けなくて...」という
方にとっても、ヒントになるような内容だから。
行きましょう、もう1つ上のドリブル勝負の世界へ!
マルチタスクが求められる
なんか社会人に説く感じの表題ですね笑
でもこれがしょうごBOSSのDF論を読んで感じたことです。
彼はとにかく
いち早く「距離を詰める」
ということを特に強調してました。
これはドリブラーにとって非常に厄介です。
「距離を詰める」は、ドリブラーにとって一番怖い。なぜなら
「DFが足を投げ出してギリギリ届かない距離」を保つこと
これが99%抜けるドリブル理論の大前提なので、詰めさせないか、詰めてくる途中「DFが足を投げ出してギリギリ届かない距離」でカタをつけなければボールを奪われます(↓この瞬間シンクロしてくるからしょうごBOSSは恐ろしい笑)。
DFは距離には敏感だけど角度の変化には鈍感
は事実ですが、角度を変えるだけの時間的猶予を与えてくれないんです。
そして「砂時計が落ちるように」と表現していましたが
カウントダウンのようにどんどん近づいてくる相手に対して、
いかに短時間、いや瞬時に勝てる間合いへのルートを確保するか。
これが大きな勝負の分かれ目になってくるでしょう。
瞬時に勝てる間合いを作るテクニック
こういった手強いDF相手に対して
瞬時に勝てる間合いを作るには、テクニックが必要です。
そのテクニックとは、
一手の中で複数の事をやってのける「マルチタスク」のテクニック。
ここまで強力なディフェンスに
角度を変える、距離を保つ、ボールに注意を引きつける
みたいなことを個別にやっていたのでは到底間に合いません!
相手はボールコントロールという負荷が無い分こちらより速く動けるわけですから。
だから一手の中に複数の事を処理できる技術が必要なんです。
今まで紹介してきた
「スイッチ」「スクラッチ」が代表的なものですね。
「スイッチ」は
距離を保ちながら角度を変える+軸足バックから軸足リードに切り替える、を1回の動作でやる技術です。
一石三鳥な技術、というのはテクニック編でもお伝えした通りです。これは素早く距離を詰めてくるDFに対し、瞬時に有利な形にする最高の手段です。」
このとき
ストライドの幅を大きくすると、1手で移動する距離が広がり、
さらに威力が増すので意識してみて下さい!
「スクラッチ」は
①距離を保つ+②角度を変える+③ボールに相手を引きつける
を同時にこなす、場合によっては④軸足バックから軸足リードに切り替えることもできるので、最大一石四鳥のマルチタスクテクニックです。
相手が詰め寄ってきた際にはプッシュして逃れる、という突破口もあるので、
かなり万能で、僕は一番多用するテクニックです。
この技術に関しては過去のテクニック編で解説してきていますが、
これらの技術をただ使うのではなく、こちらのやりたい事を複数同時に叶える
つもりで行うことが大切です。
今回更に、1手の中で複数の事を達成するテクニック
を2つ紹介したいと思います。
「ラ・ボバ」
この技は結構昔からある技で、
ボールを引く→止める→着地→縦一閃
という流れの非常にシンプルな技です。
ボールを引く→止める→着地までの1手の中に、
距離を離す→ボールに気を引きつける→ヨーイドンの体勢になる
という3つを同時に行うことができます。
ここまで加速に特化したヨーイドンの形になれる技もなかなかありません。
ポイントは、着地の際に思い切りヨーイドンのフォームになること。
スネにある脛骨を前に倒し、踏み切る推進力を最大限前に進むパワーに変換できるようにしましょう。
「スピードに乗ることが一番脅威」としょうごBOSSも言ってました。
スピード系に特化したテクニックですが、実は隠れてマルチタスクをこなしているので、強力なDF相手にも活躍することでしょう。そして技術的難易度はそれほど高くないので、是非ドリブルを始めたばかりの方も、どんどんチャレンジしてみて下さい!
「逆足ワイパー」
この技はシュートフェイントや切り返しの際に、軸足のすぐそばにボールが転がるようにコントロールし、ダイレクトに着地しながらの切り返しをするテクニックです(距離と角度や角度を作る、というような技術ではなく、相手にシンクロさせないための、タイミング外しのテクニックです)。
いわゆる2段切り返しの一種なんですが、
通常2段切り返しは
切り返し→踏み込み→切り返し
2手、多い時には3手使うところを
となるところを
この逆足ワイパーでは
切り返し→切り返し
を1手(一拍)の中で行います。
こうすると、DFは1回目の切り返しでブレーキをかけ、さあ逆方向へ追いかけるぞ、と加速した頃にはもう一度切り返されることになり、振り切られてしまいます。
この技は、1回目の切り返しの際に、軸足近くにボールをコントロールすことが大切です。
さらに重要なポイントとして、切り返し2回目の着地しながらの切り返しの時に、足首だけでなく股関節全体を外から中に内旋させること。1回目の切り返しの際に、軸足のつま先を外に向けて股関節を凱旋させておくと、次の内旋へと滑らかに移行できます。
こうすることで、2回目の切り返しの際にスムーズに加速してDFを振り切ることができます(下の動画では軸足である『左足を外旋→内旋』させています)。
この逆足ワイパーは、様々な技術との組み合わせが可能です。
通常の切り返しと組み合わせた変速ドリブルで惑わせたり
エラシコ との組み合わせも強力です。
かつてSNSでバズったアンクルブレイクも、この逆足ワイパーの1種です。
広く応用できるこの逆足ワイパー、難易度もそれほど高くありません。
スピードがあるDFを振り切るのに一役買ってくれるでしょう。
おわりに
理論を改めて考える、と言っておきながら
とっておきのテクニックについて言及しちゃいましたね笑
でも、しょうごBOSSは
このDF論は99%抜けるドリブル理論と矛盾しない。
99%抜けるドリブル理論は正しい、理想的にやられたら抜かれてしまうので、
いかにこのパーセンテージを下げるかが、このDF論が論じるところである
と書いていましたね。
だから理論自体は正しいので何も変わりません。
でも、
「理想的にやられたら」という前提があるので
「理想的にプレーさせない」ように守ってきている
つまり手の内であるロジックを知り尽くしているんです。
ロジックを知り尽くした屈強なDFには
より高い次元でロジックを具現化するための高度なテクニック
=瞬時に複数の事をこなす、マルチタスク可能な技術
が必要だった、ということですね!
次回はさらにこの手の内を知り尽くしたDFをどう攻略するか、
ある興味深い実験をした結果と考察を中心にお話していきたいと思います。
お楽しみに!
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