ステップを極める
僕はドリブルマーカーというステップ練習用のギアを考案しました。
簡単に言うと、ドリブルする際の「ステップする場所」と、「ステップの強さ(長さ)」を可視化するもの。
赤:ステップを強く・長く踏む
黄:ステップを赤と緑の中間の強さ・長さで踏む
緑:ステップを弱く・短く踏む
これらのマーカー置いてドリブルのトレーニングに役立てるというものです。
非常にシンプルなんですが、プロ選手へのドリブルデザインにも使用できるほど効果は高く、コレを使うだけでドリブルは格段にパワーアップすることができます。
なぜなら、ドリブルにおけるステップはドリブルで抜ける・抜けないを左右する要素だから。もちろんボールタッチや上半身の使い方も重要ですが、そのほとんどがステップの上に成り立っているからです。
ステップが正しく踏めたとしても、ボールタッチが失敗したり、上半身の使い方がうまくいかないこともありますが、
ステップが誤った踏み方になった時点で、ボールタッチも上半身もうまくいく可能性はゼロになってしまうんです。
つまり、ステップはドリブルの土台。
正しいステップ無くして、抜けるドリブル無し、ということですね!
ステップの役割
お馴染みの「DFとの距離や角度へ忍び込む」その過程を、具体的な足跡に変えたものがステップです。
このステップには、大まかに3つの役割があります。
①ボールタッチをやりやすくする
②体の機能を最大限引き出す
③DFを騙す
①ボールタッチをやりやすくする
代表的なものが、縦一閃の時のボール近くへの踏み込み。「空踏み」と呼んで解説してきたものですね。この踏み込みがボールから離れていると、
加速の際にボールタッチが強くなりすぎて、ボールが遥か遠くへ飛んでいく
あるいはタッチ力を加減するために加速が甘くなってしまいます(下のBAD例)
しっかりとボールの近くに踏み込んで、蹴り足がスピードゼロに近い状態で触れて、加速しながらボールタッチすることで、ボールと一緒に走り抜ける理想的な縦一閃が完成します(下のGOOD例)。
に他にもカットインの時の空踏みや、軸足の置く場所も、正確なボールタッチを支える土台の役割を果たしています。
②体の機能を最大限引き出す
縦一閃の「ヨーイドン」で飛び出す時など、一気に加速が必要な時に意識的に筋力を使うだけでなく、体本来に備わった機能をフル活用することで、限界まで自分の力を引き出すことができます。
体本来に備わった機能はいくつかありますが、好例は「伸張反射」です。
(テクニック編を呼んでいただいた方はご存知ですね!)
筋肉を強制的に伸ばすことで、無意識に体の機能が働いて=反射が起こって自動的に筋肉が収縮して加速力を得る、というものです。原理は下の動画の通りです。
この伸張反射をふくらはぎの筋肉で起こします。
加速の際に爪先立ちになり、かかとを踏み下ろして強制的にふくらはぎの筋肉を伸ばし、伸張反射を発動させてさらに自分自身の筋力で前に向かって加速すると、より加速力がアップします。
この「伸張反射」はサッカー・フットサルだけではなく、他の球技や陸上、柔道などほぼ全てのスポーツで使われていますが、意外とこの力を使っている選手は少なく、トップアスリート でないと使いこなせていない、という説もあります。実際、この伸張反射を知識として理解しても、使いこなすことはかなり難しいです。ドリブルマーカーはこの「伸張反射」を可視化し、体の中に本能として落とし込むことを助けてくれます。
③DFを騙す
この99%抜けるドリブル理論のカットインの基本形は
「縦ありきの中」です。
縦に行くぞという圧力でDFを後退させ、拓けたカットインへの道へ切り込んでいくイメージです。
この時DFを後退させるのがカットインの軸足の踏み込み。
この軸足の踏み込みが縦へのドリブルを想起させ、本当に縦に来そうな信憑性があることが、DFが後退するかどうかを決定します。
一方で、「フェイントが中へ行く準備を兼ねる」ことも重要です。
これは理論編で紹介しましたが、フェイントで本当に体全体が縦に振られてしまっては、せっかく開いたカットインへの道に進む力が出ません。軸足の踏み込みはカットインへの反力を得るためのもの、でもあります。
この3つの役割を全て満足するステップが踏めれば、ボールタッチの難易度はグッと下がり、DFを幻惑させ、DFを振り切る爆発力を得ることができます。自然と上半身の力も使えるようになってくるでしょう。
実際、全て満足するステップを体現するのはプロ選手でも難しいほど奥が深いです。まずは①を満足することを優先し、そこへ②、③のエッセンスをプラスしていくイメージが良いと思います、優先順位が①>②>③ということです。
ドリブルマーカーの役割
ここまでの解説で、「空踏み」や「軸足踏み込み」などのステップの大切さは伝わったと思います。ではこれらの決定的なステップを何処に、どのくらいの強さで、長さで踏むべきか、それを可視化できるのがドリブルマーカーです。
※ドリブルマーカーの広告みたいになってますが、購買をお勧めしているのではなくステップを分かりやすく伝えるツールとしているだけです。買わないと分からない、みたいなことは一切無いので安心して読み進めてください笑
実は重要なことは、「空踏み」や「軸足踏み込み」などの核を成すステップだけを理想的にやれば良い、ということでは無いということ。
どういうことかと言うと、縦一閃の軸足踏み込みは「中」くらいの強さ・長さで踏んで、キレ良く伸張反射を発動させるのが大切なんですが、ボールを蹴る足を「弱」で踏むことも欠かせない要素なんです。ここが軸足と同じくらいの「中」だったり、より「強」い、場合は前に進む力が引き出せなくなります。
つまり核となる「空踏み」や「軸足踏み込み」のステップは、そこまでに至る流れのステップが上手く行かないと機能しないんです。
だからドリブルマーカーは
最低でも2枚以上設置して練習します。
このようにステップの流れを可視化して、どうやって
①ボールタッチをやりやすくする
②体の機能を最大限引き出す
③DFを騙す
を達成しているのかを、実際のプレー動画にドリブルマーカーを表示させてお伝えしていきたいと思います。
これを読み進めていけば、どんなふうにステップを踏めばいいのかが分かるので、イメージトレーニングになるだけでなく、自分自身で効果的な「ステップのシャドートレーニング」ができるようになります。
自粛は明けつつありますが、それでも個人練習やボールを使わないトレーニングの重要性は増してくる可能性があります。
イメトレとして、ステップのトレーニング法を学ぶ手段としてお届けしていきたいと思います。
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